スパイウェア対策をしよう
スパイウェア、というと日本ではあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、本人の知らぬ間に趣味や嗜好・個人情報を収集し、ネットの特定の場所に送るプログラムのことを言います。
スパイウェアはフリーウェアやアドウェア(企業の広告を表示するかわりに無料で使えるツール)・シェアウェアに、特に外国製のものに多く含まれています。
そしてそれらのツール・ソフトウェアをインストールすることで知らず知らずのうちにスパイウェアがPCに侵入します。
またホームページを閲覧しているだけで侵入するクッキー型のスパイウェアや、ホームページ閲覧に必要なプラグインやコーデックだと思わせてダウンロードさせるスパイウェアが存在します。
スパイウェアはインターネットのブラウザ履歴やクッキーなどから、どんなサイトに行きどんな趣向を好むのかなどを調査し、本人が知らぬ間にネットの特定の場所に送ります。そしてその情報は企業のマーケティングなどに利用されます。中には情報収集だけでなく、ネット銀行やオンラインゲームのパスワードを盗む悪質なものもあります。
他にもウィルスに感染していると嘘をついて効果のない対策ソフトの購入ページを表示する、身に覚えのない架空請求画面を表示する、ポップアップの広告やサイトを勝手に表示する、ブラウザのスタートページを勝手に書き換える、などの実害をもたらすスパイウェアがあります。
またバグ(プログラムの欠陥)の存在するスパイウェアだったり、あまりに常駐するスパイウェアが多いとPCが不安定になったり、回線が途切れるなどの実害があります。
スパイウェアとウィルスの違い
このような説明を聞くとウィルスとどう違うの?と思われるかもしれませんが、スパイウェアの場合はウィルスのように感染や破壊活動をすることはまずなく、もっぱら個人情報の収集に用いられています。
ほとんどのスパイウェアはユーザーにその存在を知らされることなく侵入しますが、一部には作者、もしくは企業自らスパイウェア入りのツールであることを公言し、それを利用者に認識させたうえで使用するか否かを求める場合もあります。
たとえば「スパイウェアによるマーケティングを行うかわりに無料でソフトを提供します。それを了承出来る人だけインストールをしてください」という規約など。
そうした事情もあって長い間ウィルスとは区別され、ウィルス対策ソフトではスパイウェアを検出できませんでした。
しかし近年のマルウェア(ウィルスやスパイウェアなど悪意のあるソフトウェアの総称)の猛威にウィルス対策ソフトにスパイウェア検出機能がつくなど、ウィルスだけでなくマルウェア全般を対象にした対策ソフトが増えてきました。しかし下で紹介しているスパイウェア対策ソフトと比べるとまだスパイウェアの発見率は低いようです。
無料スパイウェア対策ソフト「AD-AWARE」
スパイウェアは情報収集が目的のため破壊活動はまずせず、悪質なものを除いて実害を感じることは少ないですが、自分の動向や趣向、プライバシーを知らぬ間に侵害されていることを不快に感じる方はスパイウェア対策ソフトを使うことをお勧めします。
ネット銀行やネット株などインターネット上で重要な情報を扱っている方は、悪質なスパイウェアによるパスワードの漏洩等を防ぐためにもスパイウェアのチェックを行いましょう。
広告を勝手に表示する、スタートページを書き換えるなどのスパイウェアもそれ事態迷惑ですが、漏洩した情報を不正に使われる可能性も高いので早めに駆除をしましょう。
「AD-AWARE」はスパイウェア対策ソフトとして有名で無料で使えることから利用者の多いツールです。AD-AWAREはスパイウェアと認識されているものから、スパイウェアとして利用される可能性があるものも検出し駆除をしてくれます。
(注:現在の最新版であるAd-Aware Free Antivirus+は動作に不安定なところがあるので、それが修正されるまでは下記のSpybotの方をお勧めします)
無料スパイウェア対策ソフト「SpyBot」
こちらもAD-AWARE同様スパイウェアを駆除してくれます。AD-AWAREでは駆除出来ないスパイウェアもSpyBotでなら駆除できる場合もあります。
ツールバー型のスパイウェア
最近流行している物にツールバー型のスパイウェアがあります。
ツールバーは通常、便利な機能や検索機能を追加するアイコンバーですが、検索したキーワードや、閲覧したサイトのURL情報を収集するといったスパイウェア的な行いをするものもあります。
こうしたツールバーは情報を収集することを明示したものもありますが、ものによっては無断で履歴などを収集している場合もあります。
最近では様々なソフトウェアのインストール時などに、「一緒に**のツールバーをインストールしますか?」といったメッセージが表示されることが多いですが、不必要なら基本的にインストールはしないほうがいいでしょう。
Flash Cookie型のスパイウェア
動画・ゲームの再生にFlashという形式が多くのサイトで使われていますが、そのFlashがパソコンに保存する記憶データ、Flash Cookie (Local Shared Object)を悪用したスパイウェアも存在します。Flash CookieはブラウザCookieと同じく、サイトの使用履歴や設定情報などをパソコンに保存できるため、ユーザーのWeb閲覧の行動追跡をするスパイウェアに利用されることがあります。
セキュリティ対策がされるようになってきたブラウザCookieと違って、Flash Cookieはまだ認知度も低く対策をされていることが少ないため、悪用するスパイウェアも増えてきています。
新たなタイプのスパイウェアのため、現在のところ上記のスパイウェア対策ソフトでもFlash Cookie型スパイウェアへの対応はあまりされておらず、専用ツールなどを使ってCookieの削除や制限などの対策をする必要があります。
詳しいFlash Cookieの対策方法は以下のページで解説しています。
スパイウェア? JWordプラグイン「CnsMin」
多くの日本製ツールに含まれているJWordのファイルであるCnsMinは、Ad-aware・Spybotでスパイウェアとして検出されます。JWordはスパイウェアではないとの配布元の説明ですが、なかなか判断の難しい所です。
CnsMinはAd-awareやSpybotで検出は出来るのですが完全な駆除が出来ない場合があります。
Jwordの配布元はそうなってしまったPCでもCnsMinを削除出来るようアンインストールツールを用意しているのでそちらを使って削除を行いましょう。詳しい削除の仕方はこちらをご覧ください。
駆除後も注意・スパイウェアの感染防止について
スパイウェアは一度駆除すれば終わりというものではなく、新しいツールをインストールしたり、インターネットをブラウジングしているとまた少しずつ増えていくので、時折再チェックをするのをお勧めします。
スパイウェアの感染防止には、Windows Updateを定期的に行い、アプリケーションやウィルス・スパイウェア対策ソフトのデータを常に最新の状態にしてセキュリティを高めておくことが大切です。インストールしているアプリケーションの危険性や最新版かどうかを一括チェックしてパッチをダウンロードできるSecunia PSIというツールを使うと便利です。詳しい使い方は以下のページを参照してください。
また、インターネットでダウンロードしたりメールに添付されているファイルは信頼が持てるもの以外は開かない・インストールしない。怪しいサイトのプラグインを安易にインストールしない。インストールした覚えのない見知らぬウィルス対策ソフトが出した感染メッセージを鵜呑みにせず、もし感染が心配なら信頼性の高いウィルス対策ソフトを使ってスキャンする、などを心がけましょう。